夜の旅、その他の旅

持ってるレコードとか日常とか。

Listening to Billy breathes

60年代のどこかの駅の地下街。
懐かしい人に手をひかれて歩いている。
かすかに皮のジャケットの匂い。
暖かいオレンジ色の光の中の柔らかい椅子。
水槽で泳ぐ熱帯魚を照らす紫色の光。
静かに情景は入れ替わり雨の中の外人墓地。

巨大なカレイドスコープが静かに浮き上がってくる。
極彩色に輝きながらじっと見ていなければわからないくらい、ゆっくりとまわっている。
ブレイクの後のギターとピアノで突然、野原の中の共和国が浮かび上がる。
それはきっと多大な努力を持ってして維持されているか弱く小さな国。

ドラムが静かに加わり、2本のギターが美しい鳥を描く。
それは最初、形が定まらないが、見ているうちに鳩のようにもとれる形をなしていく。
小さくか弱い鳩はツインギターがからまるカオスの中でみるみるうちにフェニックスになって飛んでいく。
そして力強く収束していく演奏。

Phishの「Billy Breathes」を聴いていると、
こんなふうに個人的な体験から始まって、最終的に何か巨大で普遍的なヴィジョンが浮き上がってくる。


今日の夕焼けみたいに。
最初は長い長い雲の行列がピンクと紫とブルーに染まっていた。
途中で燃えるようなオレンジになり、沈む前5分間くらいは見た事も無いような内側から燃え上がる深紅と紫になった。
真っ暗になったように見えてからも30分間は限り無く黒に近い紫が続いていた。