夜の旅、その他の旅

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木の箱舟

Jefferson Airplane普及委員会
第4回/Wooden Ships(木の船)「Volunteers」(1969)に収録
クロスビーとカントナー(あと2人によれば一行だけスティルス)の手になる、
素晴らしいサイエンス・フィクション・ロックンロール・ソング。
核戦争後の世界で手をとりあってサヴァイヴし、
こんな世界からは木の船でオサラバしよう...という内容。
PERRO Tapes(プラネット・アース・ロックンロール・オーケストラ)の中に
この曲の原形のような「Wooden Ships Jam」というのが入ってるが、
時代的に考えてPerro Tapesの他の曲とは違う時期に録音されたんじゃないかと思える。
とにかくその「Jam」ヴァージョンはクロスビ−がギタ−一本でハミングしているだけなのだが、
前半部のメロディはまだついていない。コ−ラス部分も未完成。
たぶん、メロディはカントナーと2人で書いたんじゃないかな。
詩は完全にカントナーの世界なので彼が主導権をとって完成させたと思う。(ちなみに法的な問題から1stに収録のCSNヴァージョンにはカントナーの名前はクレジットされていない)
グレースをしてポ−ルの歌の中でも相当いい歌といわしめたこの「Wooden Ships」は
映画「ウッドストック」の最初の方でもちらっと出てくる(オープニングはCSNの重苦しい
「Long Time Gone」またまたクロスビ−作。ロバ−ト・ケネディの暗殺にショックを受けて書かれたらしい)。
この歌についてジャクソン・ブラウン
「自分達だけ逃げちまって後のひとたちはどうするんだよ?」と
心配性なところを見せたのが「For Every Man」らしい。
でもカントナー=クロスビーのつもりでは、当時の世の中(今でもだけど)に横行する
人殺しの為の戦争を止めない政府、私利私欲の為に(広義の)ラヴを捨て未来を台なしにする体制側や
金の為にのみ動く人達、以外の全ての人に向かって
さあ、行こうと呼びかけたのではないだろうか。
未来にチャンスはあると信じ、旧い世界はもうあなた達にあげよう、
おれたちは自分の国を作るんだから
もう、いいよとウンザリしていたのだろう。
「Wooden Ship」ではなく、「Wooden Ships」なのにも注目。
木の船は旧約聖書ノアの箱舟のように選ばれた者を乗せるただ一隻の船ではなく、
乗りたい人が自分で作って船出するための物なのだ。それぞれが自分の責任と信念を持って。
まあ、実際には「Blow Against The Empire」(Paul,Grace,Crosby,JerryなどのJefferson Starship名義)に収録の
「Hi Jack」で歌われるように宇宙船でも手に入れないと核戦争から逃げ出す事は出来ないのだが...。
ティルスの書いた一行とはCSNヴァージョンの最後の
And it's a fair wind,blowin' warm out of the south of my shoulder.
Guess I'll set a course and go.(一行じゃなくて二行だったね)
であるらしい。この部分はエアプレイン・ヴァージョンには歌われていない。
冒頭の「If you smile at me,I will understand」は誰かが教会に書いてあるのを見て
ぴったりだと思い、そのままいただいて来たというフレーズ。