夜の旅、その他の旅

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名前だけでも思い出せたら

名前だけでも思い出せたら
Vinyl From My Living Room(持ってるレコードを棚の端から順番に)
David Crosby/If I Could Only Remember My Name

デイヴィッド・クロスビーは過剰なひとだ。
そして素晴らしくロマンティックで、美しくク−ルな才能を持ったミュ−ジシャンだ。
ク−ルだというのは他の人が書いた曲への関わり方が常に的を得ている事でわかる。
クロスビーのハ−モニーの付け方は非常に独特で、
ちょっと聞いただけではなかなか真似する事が出来ない。
彼はインタビューでそうしたハーモニーをつける事が非常に楽しいのだ、と答えている。

一般的な彼のイメージというのは、ニコニコしてて
ティルスやヤングの後ろで地味に(フーとかアーとか)コーラスをつけているひと....か
ドラッグでぼろぼろになって、奇跡的に生還した人...というものだろう。
どちらも間違ってるわけじゃあないけど、彼の本当の魅力はこのアルバムを聞いた人にはすぐにわかるだろう。

人と人を結び付けて化学反応を起こさせる、
誰かにその人の持つ力を最大限に出させずにおかない、エネルギーのマグマのような熱さ。
そんな熱ーいものをその豊かな表現力に包んだ人。
フォークとジャズと、聖歌をロック・ミュージックに持ち込んだ人。
そして何かいつも大事なものを見つめている人。
それが彼なのだ。

このアルバムを作るのにクロスビーは友達がいつでも都合のつく時にやって来て
録音出来るようにWally Heiders Studioを3ヶ月借り切っったという。
エンジニアのStephen Barncardにとってはとても大変な仕事だったようだが、
それだけのことはあったよね。
ある時代の最高のミュージシャンたちの自由な魂の記録とも呼ぶべきものが
録音できたわけだから。
演奏の内容的に一番貢献しているのはジェリー・ガルシアとレッシュ、キャサディの
両ベーシストだと思うけど、PERRO TAPESのなかの収録されなかった演奏を聞くと、
ポール、グレース、ヨーマの力もはかり知れない。
とにかくこんなに成功したお友だちアルバムは他に思いつかない。

どの曲も私にとってはとっても大事なんだけど、あえて一曲をあげるなら、
Laughingかな。ちなみに日本語タイトルの「嘲笑」は大間違い。
もう一曲だったら熱い熱い熱いCowboy Movieだ。

ジャケットのラクダのような長いまつげがうらやましい。